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オピニオン > 企業向け債権回収市場の必要性 −信用情報データベースの構築の観点から−
2005年3月20日

「与信管理インフォメーション」 編集長
西田 耕一

■ 企業向け債権回収市場の必要性 −信用情報データベースの構築の観点から−
3月8日に東京地裁が、アドバンス&アソシエイツのスティーブン・ギャン氏に有罪判決を言い渡したことにより、「債権管理組合」に関する問題にも一応の決着が付くことになった。ギャン氏の活動については、主に「債権回収」の部分が注目されていたので、回収業務に関する法的問題がクローズアップされがちであるが、今日は企業信用情報データベースの構築という観点から論じてみたい。

ギャン氏の活動の法的問題はさておき、多くの関係者に注目されていたのは、債権回収ビジネスのユニークさもあるが、より重要なのは、企業の支払情報(特に延滞情報)のデータベースの構築の可能性が注目されたためでもある。回収業務を通じた信用情報データベースの構築については、シーシーシー債権回収の玉木氏も、著書の中で度々触れているので、長くなるが以下にその一部を引用する。
この最初のコア(核)になるデータをどうして集めるか、その資金をどうするかが、データバンク形成の最大の問題なのである。(中略)アメリカの歴史の中では、小さなクレジット・ビューローが各地域で発生し、コアになるデータを収集するにあたって不払い債権の取立てから出発した(現在のクレジット・ビューローが、コレクション・エージェンシーの機能も同時に果たしている所が多いのはこのためであろう)。こうしてアメリカ全土に2千数百のクレジット・ビューローが発生したのである。
(『クレジット破産』 玉木英治著 P182,183)
玉木氏が論じていたのは個人信用情報についてであったが、今回のテーマである企業信用情報も同様である。

日本では大手の企業信用調査会社であっても、企業の支払情報に関するデータを持っていないため、企業は取引をする際に例えクレジット・レポートを取ったとしても、相手企業に未払いがあるかどうかをチェックすることができない。

しかし欧米ではコレクション・エージェンシー等を通して、企業の延滞情報がデータベースに登録される社会的インフラが整備されている。またダン&ブラッドストリートといった企業信用調査会社をはじめ、ユーラーヘルメスやアトラディウス、コファスといった信用保険会社も、欧米では、クレジット・レポートの提供から回収サービスまで行なっている。日本のような企業信用情報に対する認識の欠如は、”目隠し運転”と同じとさえ言えるもので、本来は関係者がもっと声を大にすべき問題なのである。

日本では債権回収業務は弁護士しか行うことはできず、サービサーは特定金銭債権についてのみ取り扱いが認められているにすぎない。これは暴力団排除と債務者保護という社会的要請が強いためである。しかし債権回収市場は、弁護士やサービサーといった業界関係者のためにあるのではない。

「債権回収」の問題は、与信管理やファクタリング、信用保険まで含めた、企業のトータルな信用リスク管理ソリューション全体の中で考えられるべきであり、単に業界の都合だけで語られるべき問題ではない。日本経済の再生に向けたインフラ作りという観点がなければ、日本はいつまで経っても、”信用リスク管理”暗黒時代のままだ。

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