与信管理インフォメーション
与信管理インフォメーション
与信管理入門
ホームサービス一覧掲載企業一覧解説記事オピニオンリンク集
解説記事 > 与信管理入門(9) 取引先の分析
与信管理マニュアル
2011年4月20日

ナレッジマネジメントジャパン株式会社
代表取締役 / 与信管理コンサルタント
牧野 和彦

■ 取引先の分析
取引先の分析には、定量分析と定性分析がある。定量分析は財務分析、定性分析は非財務分析とも呼ばれる。

通信簿に例えるとわかりやすいが、国語4、数学3という科目評価が定量分析、先生の所見が定性分析になる。つまり、決算書を分析するのが定量分析であり、それ以外の分析は定性分析になる。

定量と定性の両方から分析して、企業を評価することを総合評価法という。取引先を分析するときには、定量だけでなく定性もしっかり情報を収集して、分析することが重要である。

なぜ、決算書だけの分析では不十分なのか?それには3つの理由がある。

(1) 決算書が入手できない
(2) 決算書は古いことが多い
(3) 決算書の正確性に疑問がある

金融機関など一部の業種を除き、取引先の決算書が入手できることの方が稀である。上場企業であれば、もちろん、決算書は公開されているから入手は簡単である。

しかし、未上場企業の決算書は公告義務があるにもかかわらず、実際はほとんど公告されていない。仮に入手できたとしても、特に中小企業の決算は一年に一度である。四半期決算が義務づけられている上場企業とは違う。

したがって、決算と入手時期によっては、1年前以上の企業の財政状態を反映していることになる。

さらに、せっかく入手できた決算書も真偽のほどは分からない。上場企業でさえも、破たん時には粉飾決算が明るみに出ることもある。ましてや、監査法人の監査も義務づけられていない中小企業の場合は、正確性に問題があると言われる。

こうした問題を解決するには、定性情報の収集が欠かせない。定性情報は何かしら入手できる。また、定性情報は現在のものであるから、今、会社で何が起こっているかが分かる。

さらに、定性情報は粉飾しにくい。例えば、業績の悪い会社では社員の士気が低く、社内の雰囲気も暗いいことが多い。

そうした会社の社長が、「重要な取引先が来るから、今日だけは士気を上げて明るく振る舞ってくれ」と社員にお願いしても、士気や雰囲気は簡単に繕えるものではない。

それに対して、粉飾決算は少し数字に明るい社長であれば、自分一人でPCがあればできてしまう。

だから、粉飾決算を見抜くには、定量情報と定性情報の矛盾を見つけることが大切だという。

いずれにせよ、定量情報だけで取引先の信用度を判断するのは片手落ちであり、危険な意志決定に結びつきやすい。

与信管理インフォメーション 与信管理インフォメーション 与信管理インフォメーション

※「与信管理入門(9) 取引先の分析」は、「ニュースで学ぶ与信管理と債権回収」より、許可を得て転載いたしました。

税理士・会計事務所のための与信管理ガイド 税理士・会計事務所のための与信管理ガイド
−顧問先にきかれたらこう答える!

著 者: 牧野 和彦
出版社: 中央経済社
単行本: 188ページ
発売日: 2011/06

【著者略歴】 ナレッジマネジメントジャパン株式会社 代表取締役/与信管理コンサルタント。早稲田大学卒。ダンアンドブラッドストリートジャパンを経て、2000年に現在の会社を設立。与信管理のコンサルティングや講演、執筆業務を行う。与信管理、債権回収、財務分析、海外取引などをテーマに過去500回以上の講演をこなし、受講者数は13,000名を越える。日本人で初めてNational Collections & Credit Riskにおいて講演した経験もある。日本経済新聞、早稲田大学、SMBCコンサルティング、東京商工会議所、JETRO、日本経営協会の講師としても活躍中。

【企業紹介】
■ ナレッジマネジメントジャパン株式会社
【関連記事】
■ ビジネスセミナー(与信管理・海外取引・貿易実務・企業調査)
■ 与信管理マニュアル(総合評価法ワークシートのテンプレート付き)
■ 海外与信管理マニュアル(海外の与信管理・債権回収に関するノウハウが満載)
■ 与信管理入門(1) 与信管理とは
■ 与信管理入門(2) 重点管理
■ 与信管理入門(3) 与信管理の業務フロー
■ 与信管理入門(4) 定性情報を収集する仕組み
■ 与信管理入門(5) 商業登記簿のポイント
■ 与信管理入門(6) 不動産登記簿のポイント(1)
■ 与信管理入門(7) 不動産登記簿のポイント(2)
■ 与信管理入門(8) 信用調査レポートの取得
■ 与信管理入門(9) 取引先の分析

会社概要問い合わせ